2008/03/31

好景気のアジア市場でのデザイナーブランドバトル

高級ブランドシャネルの、香港の高層ガレージの屋上からスタートした展示会は、ある程度の注目を集める一方、ファッション業界で高まりつつあるアジアの重要性を表していた。

シャネルのポニーテールのデザイナー、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)は、有名なビクトリア・ハーバーに加え、その会場をこの上なく素晴らしいと表現した。「香港は夜が最も美しい。」ザハ・ハディッド (Zaha Hadid)による可動式建造物で、シャネルのキルティングハンドバックを中心として、20人の芸術家の作品が展示されているMobile Art Museumでの水曜日のランチの際に、彼はそう述べた。

シャネルのアジア・パシフィック代表のヴィンセント・ショウ(Vincent Shaw)氏は、ロンドン、ニューヨークを含む、世界のファッション都市を巡る展示会の最適なスタート地点として、香港は慎重に選ばれたと語った。

「アジアは、巨大な人口を有し、信じられないくらい流動的だ。巨大なチャンスがあり、アジアは成功すると我々は信じている」とシャウ氏は言う。Radha Chadhaの共著「The Cult of the Luxury Brand」によると、アジアの消費者は、年間800億ドル市場の50%以上を占め、米国とヨーロッパ市場を上回っている。

「アジアの消費者がそれほど多くの高級ブランドを買う理由は、アジアでは、高級ブランドは個性や社会的地位のステータスだからだ。」とChadha氏は言う。「人々はどんなハンドバックを持っているかで、お互いを判断する。」

アジアが西欧のラグジュアリーブランドにとって、世界最大のマーケットになる中で、国際ブランドは、パリ、ニューヨーク、ロンドンから、アジアの急成長地域へとターゲットを変更してきている。

クリスチャン・ディオール(Christian Dior)やグッチ(Gucci)を含む大手のデザイナーブランドは、マーケット調査会社ニールセンの調査によれば、2006年の23%増となる6000 万ドルを、昨年、香港における広告に費やした。今週金曜日、香港では、ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)が、1年の改築の後、旧店舗の2倍のサイズとなる巨大店舗をリニューアルオープンし、アジアにおける競争を強化する。

この店舗は、シャネルの可動式アートギャラリーから港を挟んだ、パリ、シャンゼリゼのフラッグビルディングに次ぐ、ルイ・ヴィトンで2番目の大きさを誇る。

ルイ・ヴィトンアジア・パシフィック代表Jean-Baptiste Debains氏は、ルイ・ヴィトンは、香港で年間2桁成長を記録したと語る。「香港市場は十分成熟しているが、まだ成長している。地域の富、経済の成長により、更なる売上が見込める。」

Chadha氏は、ルイ・ヴィトン市場の急成長地域の一つであり、香港に隣接する中国本土は、インドと同様、アジアの最大高級マーケットである日本を、7年の内に追い越すであろうと予測している。中国本土では、ルイ・ヴィトンは、北京、上海やその他の都市にすでにに18店舗が進出し、今年6店舗が開店を控えている。「中国には、3年以内に開店ができる都市が数多くある。」Debains氏は言う。しかし、中国に限った事ではない。

ベトナムにもルイ・ヴィトンは注目をしている。最高経営責任者イヴ･カルセル(Yves Carcelle)氏は、ファイナンシャルタイムズにおいて、昨年の300%以上の売上があると予測している。ルイ・ヴィトンは、今年、インドネシア、韓国、台湾にも出店をする。米国のハンドバック、装飾品メーカーのコーチ(Coach)は、今後数年の内に中国でのビジネスを60%以上に拡大し、今夏、香港に、グローバルのフラッグストアを開店を目指している。

中国本土、香港、マカオ、台湾を合わせると、北米、日本に次ぐ、第3の市場になりうるとコーチは考えている。 Chadha氏は、今後の経済不況を考慮し、米国の景気の減退は、高級製品の消費に影響を与え得ると警告している。しかし、ルイ・ヴィトンの Debains氏は、アジアの成長は止まらないと述べている。

「もし、強力な動力やエネルギーがアジアにあるのであれば、それは人々を動かす原動力となる経済成長がそこにあるからだ。」と彼は言う。

好景気のアジア市場でのデザイナーブランドバトル

サイト内リンク

他サイトへのリンク