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2008/04/30
北京−かつて「必需品」の対極にあった高級品は、もはや品質や、出荷量、特別感という面において、以前のようには優れていない。特に、中国においては。
World Luxury Association(世界奢侈品协会)が今年始めに発表したレポートによれば、中国は近年、日本に続く世界第2位の高級品市場になったとのことだ。
しかし、中国の多くの人々の購買力が、平均的な西洋諸国のそれに匹敵するようになったわけではない。
China Association of Branding Strategyの統計によれば、今世紀始めの数年間で、高級製品に手が届く中国の人口は、たったの13.5%、1億7550万人だ。
一方、www.searchina.net.cnが2005年5月、上海(Shanghai)、浙江省 (Zhejiang Province)、江苏省(Jiangsu Province) の1,300人のネットユーザに対し行った調査によれば、69%が自分のお金で高級製品を買う意向があると回答した。
調査対象者の平均月給は2,593元(370米国ドル)であったのに対し、年間の高級製品への平均消費額は、22,063元であった。
高級製品市場が急速に発展している今日では、この数字はさらに大きくなっていると考えられる。
さらに、4月18日のChina Europe International Business School(中欧国際工商学院)でのWang Depei氏のスピーチによれば、西洋諸国の高級品顧客の年齢層は通常40〜70歳であるのに対し、中国では20〜40歳が主要顧客であるという。
Wang氏は、China Economic System Reform Research Associationの副議長である。
高級製品の独特な文化を楽しむ西洋人とは異なり、多くの中国人は、自分の富を見せびらかすために高級製品を買う。
例えば、ヨーロッパで買い物をする中国人は、質やブランドステータスが、より優れていると言われているイタリア有名ブランド、ボッテガ・ヴェネタ(Bottega Veneta)などよりも、ルイ・ヴィトンの方を好む、とWang氏は言う。
中国の顧客にとっては、ルイ・ヴィトンが世界のトップブランドであるかどうかよりも、中国人の間で有名かどうかの方が大事である。他人が、自分の持っている高級ブランドに気づいて、褒めてくれることで、彼らの虚栄心は満たされる。
これが、多くの高級中国人顧客の典型的な心理である。
このような見せびらかしの心理が多くの高級ブランドの通俗化を招いたのは間違いないが、より責められるべきは、これを利用してきた企業側だ。
品位や品質に心血を注いできた家族経営の高級ブランド企業は、もはや、どこかに行ってしまった。これは、Dana Thomas氏の言葉だ。彼は、これまで、米国の数誌の新聞でファッション記事を書き、「Deluxe: How Luxury Lost Its Luster」を出版した。
いま、業界はむしろ、成長や露出、ブランド認知、広告、そして利益を求める、世界的な大企業によって牛耳られている。
多くの高級ブランドが全世界への拡大を進めていることが何よりの証拠である。その結果、それらブランドの名声は、高品質から、高コストに変わってきている。
もし、この状況が後戻りを許さないのであれば、現状を改善させる方法はたった1つである。
「高級製品は、環境保護をテーマに作られるべきだ」とWang氏は強調する。高級製品は、長持ちするように作られるべきであり、世代間を引き継いで使われるべきだ。
多くの中国人が必要以上の収入を得られるようになったいま、自己顕示欲のためにお金を使うのは当然だろう、とWang氏は言う。
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