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2008/06/09


ミリオネア(百万長者)の定義はどうあるべきか?

The Seoul Times

ミリオネア(百万長者)、ミリオネア・・・俳優ミリオネアに始まり、シンガーミリオネア、相続ミリオネア、その他のミリオネア。毎日、目にしたり、耳にしている。世界ではミリオネアの数は信じられないスピードで増加している。この「ミリオネア現象」は、グローバル社会の中で非常に重要位置づけを占め、実際、ミリオネアやビリオネア(億万長者)は、どきどき、国内や世界の時事問題を飛び越してトップニュースに躍り出ている。また、多くの企業が、新聞が、テレビが彼らの貴重な資産についての詳細な調査を行っている。

しかし、彼ら全てが本当にミリオネアなのだろうか?

百万長者は、百科事典によれば、何れかの通貨で100万単位を超えた富や財産を持つ個人のことだ。もしくは、何れかの通貨で100万単位の現金、預金残高、貯蓄預金を持つ人でもある。

19世紀から今日にかけて、世界経済が急速に発展し、昨今、以前に比べ、ミリオネアであることがそれほど権威ではなくなってきている。今や、世界中に多くのミリオネアやビリオネアがおり、お互いをさらに区別するための新たな表現方法が必要とされている。

その結果、今日、マルチミリオネア(総資産:200万〜)、ヘクトミリオネア(総資産:1億〜)、そして、ビリオネア(総資産:10億〜)、という新たな言葉が存在している。過去10年間、ヘクトミリオネアやビリオネアの増加により、わずか100万程度しか持たないミリオネア、マルチミリオネアは、中間クラスの金持ちとみなされてきた。現在、彼らはそれほどすごい金持ちというわけではなくなっている。

キャップジェミニ編集のメリルリンチからの年次の世界の富に関する報告書である、ワールド・ウェルス・レポート2007(World Wealth Report 2007 [プライマリー・レジデンスを除いた総資産最低100万ドルの個人に関するレポート])を見ると、世界の富裕層(HNW)の人口が950万人に成長し、その資産は37.2兆USドルに達したことがわかる。また、メリルリンチは、世界には950万人(HNWI)のミリオネアがおり、9万5000人のマルチミリオネア(資産3,000万USドル以上のUHNWI)がいることを報告している。2007年、フォーブス・マガジン(Forbes Magazine )は、世界には946人のビリオネアが存在し、富の合計は3.5兆USドルに達すると報告した。

プライベート・バンキングでは、富裕層個人(HNWI) は、総資産100万USドルを持ち、投資可能資産(プライマリーアセットは含まない)を持った個人だ。超富裕層個人(UHNWI) は、最低3,000万USドルを投資可能資産としてもつ個人もしくは世帯を指す。

上の定義によれば、ミリオネアは何れかの通貨で100万の単位を持つ個人のことでであり、プライベート・ランキングによれば、100万USドルを持つ人のことである。しかし一方、80万ユーロを持つ個人はヨーロッパではミリオネアとはみなされておらず、送金先指名銀行もこれら個人をミリオネアとは見ていない。しかし、もしこの額をUSドルに換算すれば、これら個人はミリオネアとなる。

それでは、このレポートの世界のミリオネアの数は正しいのであろうか?

USドルが世界のもしくは個人の富の基準であるという定義や世界的に認められたモデルはない。そう、USドル(USD) は、20世紀から「デファクト」の世界通貨であり、2007年でもまだ外貨準備資産の最大シェアである63.3%を占めており、一方、ユーロは26.5%である。

しかし、2000年から、ドルのシェアは落ち、ユーロのシェアが増加している。2006年の12月、ユーロは市場通貨の総額でドルを上回った。市場のユーロ紙幣の総額は、6,100億ユーロ、8,000億米ドルに匹敵する額を超えた、そして、ユーロは世界の流通額がもっとも高い通貨となった。

100万USドルを他通貨へ両替したとしても、常にその人はミリオネアになるわけではない。例えば、2008年5月23日の100万USドルは、634,698.99ユーロと同等であり、また、505,114.98UKポンド、265,450.01クウェートディナールと同等だった。

上の例を見れば、クウェートディナール(KWD)が最も強い貨幣単位であることがわかる。実際、KWDは世界の最も価値の高い通貨単位であり、2007年5月20日から通貨バスケット連動制に移行されている。しかし、クウェートディナールは、いわゆる「ハード・カレンシー」ではなく、クウェート以外ではあまり使われておらず、国の経済から受ける影響が大きい。

一方、UKポンドとEUユーロは、ハード・カレンシーである。それらは、交換可能であり、購買力があり、価値を保存する通貨として信用が認められている。しかし、世界の富を測る通貨とはみなされていない。

USドルは、最強の通貨価値ではない、特に今は。それでも、キューバのペソ[Paso](CUC)やアゼルバイジャンのマナト[Manat](AZN)は、USDよりも強い。したがって、ミリオネアを特定するための通貨単位やモデルとしてUSDを使うことは、誰が世界のミリオネアかの全体像を描く際に間違いを生じさせてしまう。

答えはとても簡単なことだ。リサーチを行う企業やその他は、最も価値の高い通貨で調査をするべきだ。KWDでなくても、EUユーロやUKポンドなどで。

結局、ミリオネアの定義はどうあるべきだろうか?

多分、ミリオネアは、世界で最も高価な通貨、もしくは最も高価な基準となる通貨の100万単位で換算した際に、依然一定の額を超えた資産を有している個人のことだ。もしくは、現金、預金残高、貯蓄預金を換算した際に、一定額を超える人でもある。

もし、ある人が世界の最高の価値を持つ通貨、もしくは、世界の最も高価な基準通貨の100万を買うのに十分な通貨をもっている場合、その人はミリオネアだろう。この方法では、ビリオネアの数は100人程度に絞られる。そして、ある意味、本来の意味のミリオネア、ビリオネアに立ち戻ることができる。





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