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2008/12/30
ルイヴィトン(Louis Vuitton)は、世界最大の高級ブランド企業、LVMHに属しているが、2002年、東京・表参道にルイヴィトンの巨大店舗ができた時、何百もの人が列を作った。さらに、初日の売上は、100万ドルを超えた。これは、日本人が明らかに高級品に対して貪欲であったこと象徴しているというよりも、高級品に対する購買意欲が減退していることを示していた。日本市場は、長らく高級品の売れ行きがもっとも良い市場であったが、ここのところ勢いは衰えてきている。多くのブランドは、過去5年間横ばいであったが、今年の売上は劇的に落ち込んだ。エルメス(Hermes)、グッチ(Gucci)、ティファニー(Tiffany)、シャネル(Chanel)、カルティエ(Cartier)は危機的な状況だ。LVMHの日本での売上は、今年前半期で、6%落ち込んだ。今年は、LVMHが1978年に日本に進出して以来、初めての業績悪化になるかもしれない。
一方、驚くべきことに、高級ビジネス全体では、主に中国、ガルフ諸国、その他経済成長国のおかげで、大きな成長を見せた(実際、好調すぎて、ロシアの香水メーカーは新たな品質問題に直面している。ロシアでは、オリガルヒ[ロシアの新興財閥]のガールフレンドが、香水につかるために数ダースのボトルを購入し、命を危険にさらした)。日本がこのように好調で合ったのは、1980年代のことであったが、今でも、日本は世界の高級品市場の約1/4を占めている。アパレル、靴、ハンドバッグ、アクセサリーなどの日本の高級品輸入市場は、2007年、1兆2千億円(102億ドル)市場であり、1996年に比べ、39%落ち込んでいる。市場規模が縮小する一方、大手ブランドのシェアは増加し、ルイヴィトンの売上は、この間3倍に跳ね上がり、1,650億円となった。
日本での不調は、短期的、長期的、両方の理由がある。景気の低迷と、そして、近年の対円ユーロの安定評価が、それだ。大金持ちは不景気でも消費を変えないために、高級品業界は経済のアップダウンに影響を受けにくいと言われているが、これは、経済の不平等性が大きい国にのみ言えることである。日本の高級品の消費者は、中流層の会社員であり、中には高級品を買うために数年間貯金をしている。
生活環境においても、日本には顕著なトレンドがある。大人になっても親と同居している「パラサイトシングル」が日本には大勢おり、彼らは、家賃を払う必要がない。また、女性の婚期や出産が遅れていることで、より消費に回すことのできるお金をもっている。これらの事象が日本の強い高級品消費を支えてきた。しかし、日本の平均年齢が上昇し、若く、裕福で、ファッション狂いの顧客は、近年減ってきている。
また、消費者の趣向も、より洗練されてきている。ロゴを貼り付けるだけで、ばかげた価格設定をするようなことは、もはや過去のことである。生活スタイル雑誌、モノクル(Monocle)のアジア編集担当のフィオナ・ウィルソン氏はそう言う。代わりに、消費者の興味は、職人の技能や、コストパフォーマンスに移ってきている。高級品としては、比較的手ごろなハンドバッグやアクセサリーを作っている Coach は、昨年、日本での売上を19%伸ばしたと報告した。競合の売上は、良いところでも横ばいであるにもかかわらず。
売上維持のため、ルイヴィトンとグッチは、これまでよりも低コストの素材で作った、高級コレクションを発売した。他の大手ブランド企業もまた、小都市に出店を始めており、ロゴの魅力は効果を発揮している。ここで大きな疑問がある。それは、日本は例外なのか、それとも、日本の事象は、顧客ニーズの大きな変革の兆しなのかだ。応えは、多分、両方とも少しずつ当てはまるだろう。もし、他の先進国顧客が、ブランドに目をくらませることが無くなれば、大手ブランド企業は、売上を新興経済国に頼るしかなくなる。そしてそこでは、新たな金持ちが価格を気にせずに、ブランドの虜になることだろう。
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