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2010/09/24
日本国内の高級品市場は徐々に回復をしているが、高級品に対する消費者の行動や考え方に変化が起こっている―McKinsey & Companyの高級品市場に関する最新のレポートが明らかにした。
レポートによれば、日本国内のインポートブランド市場(あるいは高級品市場)は2009年には前年比16%減の99.4億ドルとなり1996年のピーク時の約半分にまで縮小した。しかし、同社が行ったアンケート調査によれば、高級品を購入する意思があるとした回答が32%を占めており、他の国に比べても中国、韓国に次いで高いなど、高級品の購買意欲に関する項目の多くについて統計的に有意義な改善を示すデータが得られたという。また、「高級品を持つことは昔ほど特別なことではなくなってきている」、「高級品をこれ見よがしに持つのは恥ずかしい」、「より安価なスタイリッシュなデザインのブランドがあるため、高級ブランドを買う必要性を感じない」などの項目で改善が見られた。
日本の高級メーカーの幹部も、日本は今後もトップ3に入る高級品市場であるという事実を背景に、慎重ながらも楽観的であるようだ。
しかし調査が対象とした「ファッション・アパレル」「革製品・アクセサリー」「時計・ジュエリー」の全てのカテゴリーでトレードダウン(より低価格品への買い替え)は起きており、日本人の高級消費者は以前に比べ、より慎重に吟味して買い物をする傾向が強まっているようだ。
「革製品・アクセサリー」「時計・ジュエリー」の両カテゴリーについては、アンケート調査において20%以上の消費者が、1年前よりも購入頻度が増えたとしているが、その多くが高級ブランドを持つこと着ることの価値がわかってきたと回答しており、ブランドの背景を重視する消費者が増えてきているようだ。
また希少性や新奇性もは全般的に好まれており、日本人消費者の30%以上が、高級品が限定的あるいは希少性が高いものであれば定価で購入しても構わないとしており、米国の12%、ヨーロッパの8%を大幅に上回った。
購入の場所としては、プレミアムアウトレットで高級品を購入する消費者が増えているようだ。アンケートでは25%の回答者が、ここ1年間でアウトレットなど従来とは異なる店舗で高級品を購入することに抵抗がなくなったとしており、高級アパレル、革製品・アクセサリーの購入場所としてアウトレットで購入する頻度は全体の23-29%を占めているという。消費者の価格意識の向上、購買パターンの変化、高速道路料金の大幅値下げがこの変化の追い風となっていると分析されている。
また、オンライン高級小売店は小規模ながらも影響力を増しつつあり、Gilt(ギルト)、Brand4Friends(ブランズ・フォー・フレンズ)、Glamour-sales(グラムールセールス)などのファッション専門のマルチブランド高級品通販サイトが高級品の購入先として徐々に増えているようである。
高級品を買い求めるために海外旅行に行く消費者もおり、回答者の40%がハワイや韓国、ヨーロッパと香港・マカオなど海外旅行に行った際高級ブランド品を購入していることが分かり、価格が安いことを理由に空港などにある免税店での購入が多いようである。
同レポートはこのような消費者の変化に対応するマーケティング戦略に各高級品メーカーは取り組んでいくことが必要であるとしている。さらに、今後急増する中国人顧客をどのように取り組んでいくかも非常に重要な課題であると同レポートは締めくくっている。観光庁によれば、中国人観光客が日本を訪れた際に使うお金は1,300ドルから2,200ドルだという。また専門家によれば、今年の中国人観光客数は、昨年比24万人増の125万人、総支出は4億4,200万ドルに達し、2013年の中国人観光客は390万人に達という。
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