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2011/04/17
所得格差の広がりを隠すために、北京では贅沢品の広告の取り締まりが行われる。快楽主義や浪費主義、海外品への崇拝は、これからは容赦されないのかもしれない。
北京商工局のウェブサイトでのアナウンスによれば、贅沢をテーマとした広告の禁止令が4月15日より北京で実施されるようである。北京で美辞麗句を用いた広告を掲げる企業は4,500ドル程度の罰金を科せられるようだ。この規制は、顕示的な浪費行動をに対する取り締まりの1つとして、今後全国的に展開される見込みもあるという。
中国の高級品市場は急速に成長しており、中国商務省の発表よれば、中国は世界第2位の高級品市場であり、2015年までに日本市場を凌ぐ勢いである。また、昨年、フェラーリの売上は50%成長し、ランボルギーニの売上は3倍となり、ルイヴィトンのハンドバッグ、エルメスのスカーフ、オメガウォッチの売上は急速な成長を続けている。3月のマッキンゼーのレポートによれば、中国の高級市場の小売規模は、5年以内に倍増し、270億ドルになりうるという。
中国国内で高級品消費が成長する一方で、政府は社会的な安定により重きを置いている。中国では、社会における所得分配の不平等さを測る指標であるジニ係数の値は、25年前の0.3から、今日0.5近くにまで上がっているのだという。経済専門家によれば、0.5という数値は、通常、社会不安として引用される値である。
社会不安がより顕在化するのであれば、富の顕示を抑制することには意味がある。そして、贅沢品(高級品)広告は、最も手近なターゲットであるため、広告代理店各社は自分たちの広告コピーの見直しを始めている。高級品広告の多くが持ちている、『インペリアル』や『ロイヤル』、『浪費』、『プレミアム』、『No.1』などの言葉は、問題になる可能性があるという。
中国政府は、贅沢品広告を規制することで、『持つもの』、『持たざる者』の格差をできるだけひた隠しにしたいようだ。
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