日本の高級品(高級ブランド品)市場は好調～市場規模やデータで見る市場の状況～

中国人を中心とする海外旅行者の消費額の増加により、日本の高級品市場が好調である。調査によれば日本における高級品市場の伸びは欧州、米国、その他アジア地域を凌いでおり、今年も成長が見込まれている。また、高級ブランド店舗の出店も相次いでいる。

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この数年間、世界の高級品市場において、日本市場は大きな割合を占めてきた。コンサルティングファームのBain & Companyによれば、日本は世界第2の規模の高級品市場であり、その規模は200億ユーロ(約227億ドル)に達する。2015年の日本の高級品市場は、現在の為替レートで13%成長した(為替変動の影響を除いた場合の恒常為替レートで9%)。(BOF, 2016/2/11)

現在、2015年の日本市場の成長率は前年比の7%、為替変動の影響を除いた実質成長率で5%とされており、計算をすると市場規模は19.3B€程度と予測される。

このグラフにおける「個人向け高級品」とは、洋服やバッグ、革小物、ジュエリー・腕時計、化粧品などを含む高級品の中核をなす個人消費者向けの製品を指している。同コンサルティングファームのレポートによれば、個人向け高級品や高級車、高級ホスピタリティなど含む世界の高級市場全体の規模は2015年に1兆ユーロを超えると予測している。

また日本市場における個人高級品の主要都市は世界第4位の規模を誇る東京であり、日本市場の半分近くの市場規模を占めている。大阪は世界で第16位の市場規模の都市であり、日本では2番目の規模である。

参考までに世界の(個人向け)高級品市場規模は、2015年には13%成長の2530億ユーロが見込まれている。13%成長の大きな原因は為替の変動であり、為替変動の影響を除いた場合の成長率は1-2%と見込まれている。

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2015年12月31日までのLVMHの日本での売上額は13%増加し、売上額が5%落ちたその他アジアや、欧州、米国の売り上げ成長を凌いだ。同時期のサルヴァトーレ・フェラガモの日本での売上額は14%増加し、エルメスの日本での売上額は19%増加した。(BOF, 2016/2/11)

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プラダの12カ月間の売上は昨会計年度の4.67Bドルから$3.91Bドルとなり、利益は昨年の590.4Mドルから364Mドルに落ち込んだ。 ... 全体の売上は落ち込んだが、いくつかの市場では成長が見られた。 ... 2015年の日本市場はポジティブな傾向がみられ、中国人旅行者のおかげで10.7%の成長を記録した。(Luxury Daily, 2016/4/8)

各社ともに日本市場での売上は成長しており、わずかにではあるが日本市場での売上の割合も伸びている。

LVMHは世界最大の高級品グループであり、プロフェッショナルサービスファームのDeloitteによれば2014年の高級品の売上は、トップ100企業のうちのおよそ10%を占めている。

LVMHおよび主な高級企業(グループ)が保有している高級ブランドは次の通り：

企業(グループ) 主な高級ブランド

LVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン
(LVMH Moet Hennessy-Louis Vuitton SA) ルイ・ヴィトン, フェンディ, ブルガリ, ロロ・ピアーナ, エミリオ・プッチ, アクア・ディ・パルマ, ダナ・キャラン, ロエベ, マーク・ジェイコブス, タグ・ホイヤー, ベネフィット

リシュモン
(Compagnie Financiere Richemont SA) カルティエ, ヴァンクリーフ＆アーペル, モンブラン, ジャガー・ルクルト, ヴァシュロン・コンスタンタン, IWC, ピアジェ, クロエ, パネライ

エスティ・ローダー・カンパニーズ・インク
(The Estee Lauder Companies Inc.) エスティ・ローダー、M.A.C., アラミス, クリニーク, アヴェダ, ジョーマローン

ルックスオティカ・グループ
(Luxottica Group SpA) レイバン, オークリー, ヴォーグ, ペルソール, オリバーピープルズ

スウォッチ・グループ
(The Swatch Group Ltd.) ブレゲ, ハリー・ウィンストン, ブランパン, ロンジン, オメガ, ラド

ケリング
(Kering SA) グッチ, ボッテガ・ヴェネタ, サンローラン, バレンシアガ, ブリオーニ, ポメラート, ジラール・ペルゴ, ユリスナルダン

周大福ジュエリーグループ
(Chow Tai Fook Jewellery Group Limited) 周大福, ハーツ・オン・ファイヤー

ロレアルリュクス
(L'Oreal Luxe) ランコム, ビオテルム, ヘレナルビンスタイン, アーバンディケイ, キールズ

ラルフローレン・コーポレーション
(Ralph Lauren Corporation) ラルフローレン, ポロ・ラルフローレン, パープル・レーベル, ブラック・レーベル, ダブルアールエル, RLXラルフローレン

フィリップス・バン・ヒューゼン
(PVH Corp.) カルバン・クライン, トミーヒルフィガー

企業(グループ)	主な高級ブランド
LVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン (LVMH Moet Hennessy-Louis Vuitton SA)	ルイ・ヴィトン, フェンディ, ブルガリ, ロロ・ピアーナ, エミリオ・プッチ, アクア・ディ・パルマ, ダナ・キャラン, ロエベ, マーク・ジェイコブス, タグ・ホイヤー, ベネフィット
リシュモン (Compagnie Financiere Richemont SA)	カルティエ, ヴァンクリーフ＆アーペル, モンブラン, ジャガー・ルクルト, ヴァシュロン・コンスタンタン, IWC, ピアジェ, クロエ, パネライ
エスティ・ローダー・カンパニーズ・インク (The Estee Lauder Companies Inc.)	エスティ・ローダー、M.A.C., アラミス, クリニーク, アヴェダ, ジョーマローン
ルックスオティカ・グループ (Luxottica Group SpA)	レイバン, オークリー, ヴォーグ, ペルソール, オリバーピープルズ
スウォッチ・グループ (The Swatch Group Ltd.)	ブレゲ, ハリー・ウィンストン, ブランパン, ロンジン, オメガ, ラド
ケリング (Kering SA)	グッチ, ボッテガ・ヴェネタ, サンローラン, バレンシアガ, ブリオーニ, ポメラート, ジラール・ペルゴ, ユリスナルダン
周大福ジュエリーグループ (Chow Tai Fook Jewellery Group Limited)	周大福, ハーツ・オン・ファイヤー
ロレアルリュクス (L'Oreal Luxe)	ランコム, ビオテルム, ヘレナルビンスタイン, アーバンディケイ, キールズ
ラルフローレン・コーポレーション (Ralph Lauren Corporation)	ラルフローレン, ポロ・ラルフローレン, パープル・レーベル, ブラック・レーベル, ダブルアールエル, RLXラルフローレン
フィリップス・バン・ヒューゼン (PVH Corp.)	カルバン・クライン, トミーヒルフィガー

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円安や、香港やマカオへの旅行者の減少、中国人に対するビザ発給要件の緩和などによって、日本を訪れる中国人旅行者の数は急上昇している。このため、これまで十年近くに渡って世界の高級品市場において一定の消費力を保ってきた日本市場の記録を押し上げた。

Bain & Companyの2015年のレポートによれば、外国人旅行者は日本での有名ブランドの売上総額の40%もを占めている。(BOF, 2016/2/11)

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メーカーと小売の適切な顧客へのターゲティングに助けられ、2015年の日本市場における高級品の売上額は成長した。海外からの旅行者が重要性を増す中で、都心部の多くの百貨店や、高級ブランドの旗艦店が免税販売プロセスを改善し始めた。また、旅行者特有のニーズに合わせたサービスの追加や、新製品の導入が行われた。国内消費者に対しては、高級ブランド各社は従来通り40代を主なターゲットとしながらも、経済成長時代からの得意客であり多くの貯蓄を蓄えている50代以上の消費者も重要なターゲットであると認識した。 (Euromonitor, Apr 2016)

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中国の消費者は、世界の高級品市場の31%を占めており、米国の24%、欧州の18%がそれに続いた。
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中国人の消費は依然大きいが、彼らはユーロ安や円安に魅かれて、従来の香港やマカオから、欧州や日本でのショッピングに向かっている。中国人の高級品消費のおよそ80%が海外で行われた。 (The guardian, 2015/10/29)

4,300人の中国人を対象にTravelzoo Asia Pacificが行った調査によれば、日本は2015年に最も中国人に好まれた旅行先であるという。日本は調査対象者の40%近い支持を受け、2014年の30%近い支持率からさらに大きく数字を上げた。円安とビザ発行基準の緩和が大きく後押しをしたようだ。

また他の調査によれば中国から日本への旅行者数は2015年に倍増し、さらに2016年も大きな増加が予測されている。

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アジア地域と米国での横ばい傾向を補う日本と欧州での消費の加速により、今年の個人向け高級品の世界売上額が緩やかではあるが増加するだろう。

Bain & Co.とイタリアAltagammaの調査によれば、車やヨット、美術品を除き、ファッションアイテム、雑貨、ジュエリー、腕時計を含む個人向け高級品の分野は、今年2%以上成長が見込まれている。

中国人旅行者の消費に助けられ、日本は今年の高級品市場における最大の成長市場と予測されており、売上額は5%増加を見込まれている。(BOF, MAY 24, 2016)

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世界の高級ブランドが日本での存在感を再構築している。

東京銀座の高級ブランドの店舗数が、昨年歴史的な高水準に達した。各ブランドは主要地域における大型店舗の開店や、既存店舗の改装を行っている。

日本での高級ブランドの復活は、株式市場が大きな不安定さを見せている中国での需要の減少に起因している。

商業不動産サービスファームのCBREによれば、12の高級ブランド店舗が、昨年、東京銀座を含む主要な地域に開店したが、その数は1979年以来の最大数だった。さらに8店舗が今年の開店を計画している。
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中国人は、世界の高級品市場の30%を占めているが、海外での購入が半数以上を占めている。日本に旅行をする中国人の数は、昨年倍増し、217万人となった。　(The Korea Times, 2015/07/30)

＜続く＞

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