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2016/07/22
CapgeminiのWorld Wealth Report 2016によると、日本と中国は富裕層(HNWI: high net worth individual)の成長の原動力となり、両地域は2015年の富裕層人口の増加の60%近くに貢献をしたという。世界の富裕層資産の成長が減速をする中で、中国と日本を含むアジア・パシフィックは大きく成長し、2015年に富裕層の人口及び投資可能資産額は北米を凌ぐ最大の規模になったとのことである。同レポートは世界の71ヶ国を対象としており、レポートの作成にあたり23ヶ国の富裕層5,200人と、15市場のウェルスマネージャーに対する調査が行われたという。
同レポートにおける富裕層の定義は、「主な居住用不動産、収集品、消費財、および耐久消費財を除き、100万米ドル以上の投資可能資産を所有する者」である。
世界の富裕層の数は年々増加をしており、2015年には1,500万人を超えている。特にアジア・パシフィック地域が大きな成長の原動力となっており、2015年には唯一500万人を超える最大の地域となっている。また、投資資産額の合計は2015年に世界全体で58.7兆米ドルに達し、アジア・パシフィック地域は最大の17.4兆米ドルを占めている。
同レポートでは投資可能資産額により、富裕層をさらに超富裕層(Ultra-HNWI: 投資可能資産額3,000万米ドル以上)、中間層ミリオネア(Mid-Tier Millionaires: 投資可能資産額1,000-3,000万米ドル)、下層ミリオネア(Millionaires Next Door: 投資可能資産額500-1,000万米ドル)に分類している。
日本のデータに目を向けると、富裕層の人口は米国に次ぐ世界第2位であるが、その数は2015年に250万を超え全体の18%近くを占めている。
他の調査による富裕層の定義と規模
野村総合研究所でも、2014年に富裕層の世帯数に関する調査が発表されており、2013年の推計によると日本の富裕層は101万世帯、純金融資産総額は241兆円とのことである。
ここで言う富裕層には、「預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命・年金保険などの純金融資産保有額(保有資産の合計額から負債を差し引いた値)が1億円以上5億円未満の『富裕層』と、同5億円以上の 『超富裕層』」が含まれている。
2011年に比べると2013年の富裕層の数は25.4%、超富裕層は8.0%増加し、両社を合わせた世帯数は24.3%増加しており、2000年以上では最大の規模となっている。
富裕層および超富裕層の保有する純金融資産総額は、2011年に比べそれぞれ16.7%、65.9%増加し、合わせて28.2%の増加となっているが、超富裕層の資産額が大幅に増加している。
また、総務省統計局による「家計調査報告(貯蓄・負債編」でも、二人以上の世帯について貯蓄現在高階級別の世帯分布が公表されている。ここで貯蓄額とは、預貯金だけでなく、生保の掛け金、有価証券、社内貯金、さらには共済などの貯蓄の合算であり、負債は考慮されていない額である。2015年の富裕層が含まれるとみられる貯蓄額4,000万円以上の世帯の割合は12.1%である。
最後に、厚生労働省による「国民生活基礎調査の概況」のデータを紹介する。この調査の対象はこれまでの調査対象の資産額ではないが、日本の世帯年収の分布が公表されている。最新の調査は平成27年(2015年)調査であり、平成26年(2014年)1月1日から12月31日までの1年間の世帯ごとの所得が調査対象とされている。調査結果によると、一般的に高所得世帯と言われる所得額が1,000万円以上の世帯は全体の12.2%であり、所得額が2,000万円以上の世帯は1.0%である。
<了>
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