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2016/09/07
イギリスのEU脱退による円高の影響で、訪日外国人観光客による百貨店での消費が7月、大幅に落ち込んだ。
訪日旅行客数の記録的な伸びにも関わらず、日本百貨店協会の報告によれば、外国人観光客による百貨店における消費は今年7月で4ヵ月連続で前年同月の数字を下回った。長らく続いてきた訪日観光客の増加は日本経済に追い風を与え、これまで日本の観光地を賑わせてきた。今年7月の訪日外客数は前年同月比19.7%増の229万7千人にも達している。
しかし7月の訪日観光者の多くが旅行予約をしたのは、6月にイギリスのEU脱退が決まり円高が進むよりも前のことである。円高が訪日観光客の伸びに影響を与え始めるのは、これから2-3ヵ月先のスキーシーズンのころかもしれない。
一方で、円高は現在日本にやってきている外国人観光客の消費行動に確かな影響を与えているようである。これまで、高額な高級ブランド品を好んで購入していた中国人観光客は、中国政府による関税の影響もあいまって、消費の方向は徐々に化粧品や食品、目薬、風邪薬などの日用品に向かっていると言われている。
観光庁の調査によれば今年4-6月の訪日外国人全体の1人当たりの旅行支出額は159,930円と、前年同期(177,546円)に比べ9.9%減少した。特に訪日中国人1人当たりの旅行支出は219,996円であり、前年同期に比べ22.9%のマイナスであった。前年は首位だった1人当たり旅行支出は5位に後退し、ベトナム(238,375円)や、オーストラリア(233,902円)、スペイン(223,959円)、ロシア(220,020円)の後塵(こうじん)を拝した。中国人の爆買いは沈静化したとの声も識者からあげられている。
成田・関西空港などにおける免税店の運営(物販事業)を行う日本空港ビルデング社においても、今年第1四半期の決算報告によれば、「爆買い」需要からの反動減の影響もあり物販事業の営業利益は前年同期比の38.3%減と報告されている。
政府による円高対策の介入も含め、これからの円相場の動きとともに、小売業による外国人観光客の取り込み戦略が注目される。
<了>
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