2008/01/30

ルイヴィトンがマスメディアを利用

ルイヴィトンの９０秒スポットCMがテレビと映画館で、２月１５日から放映される。印刷広告とは異なり、有名人よりも旅行を強調。

今週火曜、ファッション・ラグジュアリーブランドのルイヴィトンはこれまでで初めてとなるテレビCMの計画を発表し、新たなマーケティングへの動きを見せた。旅行をテーマとした９０秒のスポットCMはフランス、スペイン、インド、日本で撮影された。

２月１５日に始まるこの広告キャンペンは、世界各地のケーブル・サテライトテレビチャネルや映画館で放映される。今回の広告では、これまで印刷広告で使ってきた、カトリーヌ・ドヌーブ(Catherine Deneuve)やアンドレ・アガシ(Andre Agassi)、ミハイル・ゴルバチョフ(Mikhail Gorbachev)などの有名人ではなく、普通の人が出演している。

LVMHモエヘネシールイヴィトングループに属するルイヴィトンは、広告に「高級ブランドによる初めてのオンスクリーンキャンペーン」と台打っている。

高級ファッションブランドと高級クッズを扱う企業は、今まで主に雑誌や、場合により新聞に広告を掲載するものの、テレビCMは一般的に避けてきた。

テレビCMは高額である一方、多くの高級ブランド企業、特にヨーロッパの家族経営企業は、比較的小さい広告予算の中でやり繰りしなければならなかった（パリ所在の持株会社LVMHは、家族経営ではないが）。また、ブランドイメージを大事にするファッションブランドの多くは、テレビの幅広い視聴者に広告を打つことで、ブランドの特別感が失われることを心配してきた。

例外はシャネルだ。シャネルは３年前、シャネルNo.5の香水の２分間テレビCMを放映し話題になった。このCMは二コール・キッドマンが出演し、3000万ドルの制作費がかかったと報告されている。

ルイヴィトン広告は特定の商品というよりも、そのブランド自身をプロモーションしている。ルイヴィトンバッグが唯一、広告の中に一瞬表れ、「Where will life take you?」と問いかける。

「この広告は、多分、他のメディアとは異なる方法で、常連顧客や視聴者に衝撃を与えることになるだろう」と、ルイヴィトンマーケティング部門長のPietro Beccari氏は言う。「これがルイヴィトンが他と異なるところだ。はかないようで記憶に残る。」

Beccari氏は言う、この広告は、西洋諸国のようにまだルイヴィトンのイメージが築き上げられていない中国のように急成長する市場で、新たな顧客にメッセージを届けるためには、特に効果的だ。

広告は、「厳選された映画」や旅行経験豊かな視聴者を引きつけることができるようなケーブルや衛星チャネルで放映される。Beccari氏によれば、それらはゴルフチャネルや、出張をしたビジネスマンがホテルで見るようなCNNやBBCワールドなどを含む予定だという。

「我々は、Nutellaの様にテレビを使うつもりはない」と、チョコレートヘーゼルナッツの展開を持ち出して彼は言った。Beccari氏はルイヴィトンが今回のキャンペーンにどの程度の費用を使うつもりなのかは明言しなかったが、フランス最大のテレビチャネルを引き合いに出し、「TF1に出すことはないだろう」と付け加えた。

テレビCMなしでさえ、ルイヴィトンはこれまで、商品売上を伸ばしてきた。報告によれば、服飾を含むブランドは、特に中国での急成長の影響を受け、昨年始めから９ヶ月で、２桁の売上成長を記録した。

ルイヴィトンの専門店で衝動買いする顧客のように、Beccari氏と、ルイヴィトンCEOのYves Carcelle氏は、テレビCMの導入に躊躇することはなかった。WPPクループに属する広告代理店のOgilvy & Mather社によりまとめられた提案は、複数のフィルムからのムーディーな静止画によるコラージュだったとBeccari氏はいう。それはまた、数年続いてきたファッションラインへの派手なマーケティングの後に、旅行分野の伝統に焦点を絞ってきたブランドを、適切なトーンで表現している。

「これを見たときには鳥肌が立って、思わず『これが我々の進むべき方向だ』と言ってしまったよ」とBeccari氏は言った。

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