2008/12/07

次のファッション業界

近い将来、ＬＶＭＨ（エルブイエムエイチ・モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン）、ＰＰＰ（ピノー･プランタン･ルドゥート）、リッシュモン（Richemont）は近い将来、気取っていられなくなるだろう。この先数ヶ月、ファッションショーのステージは、ブラジル、ロシア、インド、中国からの作品で溢れかえることになるだろう。

多くの人が考えるブラジルファッションは、世界的に有名な、ハワイアナス（Havaianas）のビーチサンダルだろう。しかし、もはやそのようなことは無い。創業２年のブラジルのグループ企業である、インブランズ（InBrands）に注目してみよう。インブランズは、ブラジルで最も注目を浴びている２人のデザイナーを取り込み、アレキサンドレヘルコビッチ（Alexandre Herchcovitch）の株式７０％とイザベラカペート（Isabela Capeto）の株式５０％を獲得し、ここ３年間で３億９千万ユーロもの売上高をあげている。また、子供服ブランドの Lilica Ripilica や Tigor T. Tigre の運営会社のマリソル（Marisol）や、ニューヨークに今夏、店舗を開いたビーチウェアブランドのロザチャ（Rosa Cha'）も注目だ。

インブランズは、ＵＢＳパクチュアルバンク（UBS Pactual bank）が運営するＰＣＰ投資ファンドと人気ブランドのエラス（Ellus）による合弁企業であるなど、多くの資金がブラジルに集まっている。しかし、多くの人々は、インドでこそ、大きな動きが起こると見ている。

パンタルーン（the Pantaloons）やリライアンス・インダストリーズ（Reliance Industries）など、大衆・中流市場向けのインド小売企業は、プライベートエクイティや製造業の起爆剤の役割を担いながら、これまで新たなブランド獲得のために多くの会社をスピンオフさせてきた。そして、米国企業セコイア・キャピタル・ファンドが率いる、プライベートエクイティコンソーシアムは、今夏、２千万ユーロを、起業家サンジェイ・カプール氏（Sanjay Kapoor）のジェネシス・カラーズ（Genesis Colors）に投資した。ジェネシス・カラーズは、地域ブランドのサティヤ・ポール（Satya Paul）やデザイナーのディーピカ・ゲハニ氏（Deepika Gehani）を抱えている。

ロシアでも、多くのファッション帝国が立ち上がろうとしている。ただし、ほとんどの投資家は病的に慎重ではあるが。たとえば、デニス・シマチェフ氏（Denis Simachev）は、１年で米国に４店舗の展開を計画しているが、彼には３名の匿名の投資家がおり、ロマン・アブラモヴィッチ氏（Roman Abramovich）が主要な支援者であると言われている。市場に浸透し、確立されているブランドの中で、キラ（Kira）イルフェ（Irfe）は特に際立っている。キラは、ウィム・ビル・ダン社（Wimm-Bill-Dann）の大富豪創始者であるセルゲイ・プラスティニン氏（Sergei Plastinin）のまだ１０代の娘、キラ・プラスティニーニャによるブランドであり、イルフェは、ヘリテージ（The Heritage）というファンドを背後に持つ高級婦人服ブランドだ。

一方、中国では、投資の多くはShan ShanやXia Menなどの上場企業に集中しているものの、地域企業も、大手欧州企業や、他の国際ファッション投資企業との提携を始めている。

これら新興市場で共通していることは、高級ブランドに対して非常に大きなニーズがあることだ。中国は、１０年以内には、日本を凌いで、高級製品の世界のトップ消費国になると見られている。メリルリンチ・キャップジェミニ（Merrill Lynch & Capgemini）は、2007年時点で、817,000人の百万ドル長者が、ブラジル、ロシア、インド、中国にいると見積もっている。

ＬＶＭＨは、2009年公開のプライベートエクイティファンドを使って、買収ポートフォリオを作っており、その中に入れ込むデザイナーブランドを探すために、インドに派遣団を送ったと報告されている。

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