2009/09/19

高級ブランド、富裕層の集まるシンガポール

高級ファッションブランド各社がシンガポールに進出している。　各社ともに、過去最悪の不景気を脱して、アジア大富豪を呼び集めようとしている、シンガポールの都市国家としての野望に期待しているのである。

世界的な不景気をものともせず、数々の富裕層向け店舗が、世界で最も富豪密度の高い、東南アジアの金融センターであるシンガポールに出店を続けており、また、近い将来の店舗展開を考えている。　ヨット停泊地付きマンションや、六つ星ホテルなどをそろえ、シンガポールは、高級住宅センターとしての位置づけを確立しつつある。

シンガポールのメインのショッピング地域であるオーチャード・ロード（Orchard Road）には、新しいモールが相次いで建設されており、通りは一新されている。　加えて、同国初となる２つのカジノリゾートが、来年オープンを向かえ、小売業者は売り上げの伸びを期待している。

「シンガポールの店舗の多くは、フラッグシップタイプのものや、外観の凝ったものです。　そのため、ここ数年間、あまり新たなブランドが入ってこなかったこの通りに、新たなブランドを出す良い機会になるでしょう。」　ハズバンド・リテイル・コンサルティングのマネージング・ディレクターであり、アジア高級ブランドに関する本の著者であるPaul Husband氏は述べた。

オーチャード・ロードには20を越えるモールがあり、最近では、７月にアイオン･オーチャード（Ion Orchard）がオープンした。　同モールには、ルイ・ヴィトン（Louis Vuitton）を含む、ブランド大型店舗に加え、ハリー･ウィンストン（Harry Winston）や、デザイナーズブランドのダイアン・フォン・ファステンバーグ（Diane von Furstenberg）が出店している。

別のモールに目を向けると、１０月にオープンするマンダリン・ギャラリー（Mandarin Gallery）には、マーク・ジェイコブス（Marc Jacobs）やジョルジオ・アルマーニ（Giorgio Armani）などのデザイナーブランドの店舗が出店予定であり、近隣のナイツブリッジ（Knightsbridge）には、来年の５月までに、８から１０店舗もの高級テナントが入る予定である。

また、２０１０年にオープンするマリーナ・ベイ・サンズ（Marina Bay Sands）にも、数多くの店舗が入る予定である。　さらに、そのライバルであるリゾート・ワールド・センソーサ（Resorts World Sentosa）には、およそサッカー場の半分の広さのスペースに、高級小売店舗が出店される予定である。

そして、このような動きはシンガポールに限ったことではない。　多くの企業が、見通しのよくない西側諸国から東に目を向けるのにあわせて、高級ブランド各社も、ベトナムやインドなどのアジア諸国に進出を図っている。

小売業者の視点からすれば、シンガポールは、高級品に消費意欲のある、十分な買い物客を惹きつけている。

エコノミストのYuwa Hedrick-Wong氏は、最新著書『Succeeding Like Success: アジアの裕福な消費者』の中で、シンガポールの富裕層は、2015年までに、全世帯の２．５％、31,700世帯にまで増え、その各世帯は嗜好品に150,000ドルを使えるであろうと予測している。

シンガポールは、また、マレーシアや、タイ、インドネシアの富裕層をも惹きつけている。

「シンガポールは、教養のある人々や、科学技術に精通している人、洗練された消費者が多数を占める、巨大な富裕層市場を形成している」と、Hedrich-Wong氏は、著書にこう記している。

「間違いなく、今後１０年で東南アジアには、多くの成金が誕生するでしょう。　他の国と同じように、成金というのは皆、派手で目に付くようになるでしょう。　そして、彼らは注目されたいのです。」

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