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2010/03/27
『プレミアム・ワイン』に数万円をはたいて、それが安物のワインと変わらない味だったことを想像してみよう。 長年、高級ワインのコレクターは、購入したワインが実際の品質や年代のものであるかを確かめることにどんな苦労も惜しんでこなかった。 プレミアム・ワインを安物で薄めることを防ぐための不正開封防止キャップや、高級ワインを識別できる電子舌など、鑑定家達は騙されないための方法をさまざま試してきた。 そして今、原子爆弾と関係のある、ある手法が試されている。
最近の調査によれば、ワインに『ボム・パルス』テストを施せば、年代物ヴィンテージワインの偽造ボトルを買ってしまうことを避けられるそうだ。 このテストは、ワインの製造時期を調べるために空気中の放射性物質を利用する方法である。 科学者によれば、この方法では何年に製造されたワインであるかまで分かってしまうという。 そのため、例えばある1982年のシャトー・ラフィット・ロートシルト(Château Lafite-Rothschild)が本物ではなかった、などということがわかってしまう。
サンフランシスコでの米国化学会会議において、科学者のグラハム・ジョーンズ氏は、1940年以前、地球上のすべての生態圏において炭素14(C14)は、宇宙線と大気圏上層部の窒素により作られていたと述べた。 しかし、1940年後半から1963年までの間、原子爆弾のテストにより、放射性物質が放出され大気中の炭素14の量はかなり増加した。 1963年に原子爆弾のテストが停止されて以来、この原子爆弾テストにより作られた『ボム・パルス』炭素14は、化石燃料の燃焼により作られるCO2により徐々に薄められてきた。 これが一体ワインとどんな関係があるのだろうか? そう、収穫前のブドウはCO2を摂取する際、同時に炭素14も取り入れ、そのブドウからできたワインは微量で無害なその放射性炭素(炭素14)を含んでいるのである。
科学ニュースを扱うPhysOrgは次のように説明している:
科学者のグループが高感度の加速器質量分析装置と呼ばれる計測機器を利用して、1958年から1997年までのヴィンテージのある20の赤ワインのアルコール中の炭素14を計測した。 そして、それらの計測値を既知の大気サンプルの放射能レベルと比較した。 科学者のグループは、その手法が高い信頼度で、ワインの製造時期を製造年レベルで鑑定することができた。
有史以前の化石や工芸品の年代を調べる炭素年代測定法のように、ワイン中の残留ボム・パルス炭素14は、きっとその年代を調べるのに大いに役立つはずである。 この科学者達は、この手法により全世界で30億ドルのワイン市場から偽装がなくなることを願っている。
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