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2016/09/24


世帯ごとの所得格差が過去最大に...一方中国は?

厚生労働省が今月発表した調査によれば、日本の世帯ごとの所得格差は過去最大となった。

厚労省が発表した2014年の「所得再分配調査」の結果によれば、所得の格差を表すジニ係数が前回調査より0.0168ポイント上昇し、0.5704と過去最高を更新した。厚労省は、この上昇は高齢者世帯や単独世帯の増加により、相対的に低所得世帯が増えたことで格差が広がったことが要因であるとみている。

今回、過去最高を更新したジニ係数は、年金や医療といった社会保障による所得再分配を行う前の「当初所得」に対するジニ係数であった一方で、所得再分配を行った後の「再分配所得」に対するジニ係数は前回よりも0.0032ポイント減少の0.3759となり、厚労省は社会保障・税の再分配機能の拡大により、格差の拡大を防止している結果となったと結論付けた。

日本のジニ係数の推移

再配分前の「当初所得」のジニ係数は2002年以来毎年増加をしている一方で、「再配分所得」のジニ係数は0.4を超えない数値を維持しており、同省の説明の通り、数値上は再配分機能が格差の拡大を防止していることが見て取れる。しかし一方で、専門家の中には、高齢化が進む日本では主に若者を中心とする労働者層の所得が年金受給者である高齢者層に流れているだけであり、本来あるべきの持つ者から持たざる者への健全な富の再配分ではないと危惧する声もある。

一方で、隣国の中国では所得格差が大きな社会問題として取り上げられている。

北京大学のレポートによれば、中国の所得格差は世界でも最大の水準にあり、最も裕福な1%の世帯が国の3分の1の富を所有する一方で、最も貧しい25%の世帯が所有する富は国のわずか1%の富に過ぎないという。同レポートによれば、中国のジニ係数は2012年に0.49であった。世界銀行は、0.40を超えるジニ係数は深刻な所得格差を表すとみなしている。1980年代のジニ係数がおよそ0.3だったことを考えると、名目上は共産主義国家である同国では今後、積極的な課税や手厚い社会福祉の要求の声がより大きくなっていくかもしれない。

しかし、この数値も蔓延する汚職や所得隠しの影響は反映されていないために、実質的なジニ係数はより大きく2010年に行われたある調査ではその数値は0.61にもなったとの報告もあったようだ。

<了>






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