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2009/01/21


米国:不景気でも安定している高級チョコレート

THE WALL STREET JOURNAL

舌の肥えた消費者は、材料と職人作りにこだわる

不況で倹約をしている消費者でも、人気の高級チョコレートにはお金を使う。しかし、何を買うかは、商品の価値、品質、製造者に依存している。

アナリストによれば、さまざまな高級カカオが流行っており、これがチョコレート売上の成長を促しているそうだ。店頭には、大手メーカー同様、小規模の専門店からの商品が並んでいる。しかし、米国不況と世界経済危機の影響で世帯収入は冷え込んでおり、お菓子への消費自体は減少している。

「チョコレートは不況の影響をあまり受けず ― 大事なのは、顧客がその商品にどれだけのお金を払ってもいいと思っているかだ。」シカゴの市場調査会社であるミンテルのシニアアナリスト、Krista Faron氏には言う。

高級チョコレートは、一般的に、ワインと同じく、原料と製造プロセスが大事である。チョコレートの価格は、その品質に比例をしている。

「高級チョコレート売上の成長は、販売量の面では、世界経済危機の影響を受けて、ここ数ヶ月減速している。しかし、金額ベースでは、この領域はまだ成長を続けている。」とスイスを拠点とする企業のバリー・カレボー(Barry Callebaut)の広報担当であるJosiane Kremer氏は言う。同社は、世界の小売企業や消費者だけでなく、食品メーカーや、職人、シェフにも販売している。

シカゴを拠点とする調査会社、Information Resources Inc. のデータによれば、年末11月2日の時点で、チョコレート菓子の売上総額は、49.9億ドルであり、1年前の数字から2.2%の増加であった。このデータは、ウォルマートのデータは含まれていない。しかし、このデータによれば、同時期の平均売上個数は、約3.8%減少している一方、平均単価は9セント上がっている。ここ数十年に渡る純ココア価格の高値を背景に、チョコレートメーカーは価格プレッシャーを受けており、大手メーカーの多くが、2008年、値上げを行った。

そのような中、大手チョコレートメーカーであるバリー・カレボーと、ハーシー社(Hershey Co.)は、これまで主に小規模な専門メーカーに独占されていた高級チョコレート分野の綿密な調査を行った。また、マーズ社(Mars Inc.)のマーズ・スナックフード・アメリカ(Mars Snackfood US)は、2008年、ダークチョコレート味、ミントチョコレート味、ラズベリーアーモンド味のM&Msプレミアムを発売した。

新たな製品が次々と市場に投入され、高級チョコレートが市場に飽和している中で、ブランド名に親しみがあることは大きなアドバンテージである、とミンテルのFaron氏は言う。

「強力なブランドのバックアップがあり、最高な質と優れた味を提供しているブランドは強い」と彼女は言う。

不景気の中にあっても、小規模な高級専門メーカーは、大手ほど激しい競争に巻き込まれないため、まだ状況は良いとFaron氏は言う。

「消費者は、小規模で地域特化のメーカーを支持する傾向にあり、強いローヤリティーを持っている」と彼女は言う。

Askinosie Chocolate(所在:ミズーリ州、プリングフィールド)とGuittard Chocolate(所在:カリフォルニア州、バーリンゲーム)は、独自の製造・販売アプローチを採用しているユニークな企業である。

Askinosie Chocolateの創業者、Shawn Askinosie氏によれば、同社は参加型の個人カスタマイズ手法を用いたビジネスモデルを採用しているという。同社が買い付ける年間のココア豆は約20トンであり、大手メーカーから比べればごくわずかなものであると、Askinosie氏は言う。

また、同社はCraft Chocolate Makers of Americaの会員ではなく、少量の厳選された材料を使って、高品質のチョコレートを作ることに重きを置いている、独立系チョコレートメーカーである。

「我々は、マス消費者へのアピールは考えていません。」とAskinosie氏は言う。

一方、Gary Guittard氏は、裁量経費により、彼の会社は、他の菓子メーカーよりもチョコレートで大きな売上を上げていると言う。Guittard Chocolateは、業界団体、Chocolate Council of the National Confectioners Associationの一員であり、このメンバーは米国で加工されるチョコレートの90%以上を占めている。

「皆、市場に独自のポジションがある」とGuittard 氏は言う。

多くの消費者は、小規模専門店と大手高級チョコレートメーカーの違いに気づいていないと、ニューヨーク州KatonahのJ Ganes Consultingの社長、Judy Ganes-Chase氏は言う。

「大手メーカーの高級商品でも、一般消費者には十分だ。彼らは、それで十分楽しめるし、特別感を感じるだろう。」とGanes-Chase氏は言う。

消費者はチョコレートを買い続けているものの、予算が減るに従い、高級チョコレートの誇大広告や、意味のない品質保証に反応しなくなっている。

チョコレートが健康に良いという主張も、健康食品ブームが去ると共にすぐに消えるだろう、と彼女は言う。さらに、フェアトレードのチョコレートも、経済の見通しが暗い中では、魅力がなくなっている。フェアトレード製品は、ココアやコーヒーなどの日用品に対して、生産者に市場価格よりも高い値段が支払われることが保証された製品だ。

「原料が厳選されたフェアトレード製品においても、消費者は質の違いには気づいていないだろう。」とFaron氏は言う。

しかし、プライベートブランドのチョコレートが有利な状況の中、高級チョコレート分野での競争は続くだろう。チェーンストアや、小売店で売られている独自ブランドのチョコレートは、大手ブランドよりも低価格ではあるが、質は同じであると、彼女は言う。





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