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2009/02/24
流行の最先端の渋谷109で、フリルミニスカートの販売員が、クラブミュージックの騒音に重ねて、粘りのある甘い声でいらっしゃいませの声をかける。ストロベリー色のブロンドカールで、厚い着けまつげの日本人女性たちが、10のフロアを歩き回り、買い物をしている。
109は、20代前半のジャパニーズファッションの発信地であり、少女たちの欲しがるものがデパートよりも安価格で何でも手に入る ― 高級ブランドを除いて。ここでは、上品な靴と同様、プラダのバッグにお目にかかることはとても稀である。
つい10年前までルイヴィトンなどの海外高級ブランドに夢中だった若い日本人女性は、何故その欲望を失ってきているのか?
「今まで高級ブランドは何も買ったことがないの。だから本当に何も知らないの」と、109のROSE FAN FANの店員のウラサワさん(20)は笑った。「ブランド品に大枚はたいても、1年後には流行遅れになってるよ。」
私は、シャネル(Chanel)日本法人のサクライさん(28)の招待で109に行くことになっていた。彼女は、日本の若者の間で何が起こっているかを調べる役割を担ったばかりであった。
高級ブランド各社は、控えめな言い方であるが、日本で起こっていることに心配をしている。国内外の買い物を合わせれば、日本人は世界の高級製品市場の約半分を占めている。しかし、昨秋、ベイン・アンド・カンパニーからリリースされた調査によれば、日本の高級市場は、2007年の2%縮小に続き、2008年はさらに7%縮小する見込みとされていた。
原因の一部は、長引く不景気に続く経済の縮小だ。昨年、日本のデパートは、12年連続で、売上が減少した。IT技術の急速な革新からITバブルの崩壊を経て、日本社会は、正規雇用の労働者を期間雇用に置き換えてきた。厚生労働省によれば、2007年、労働者の40%近くが、非正規社員(契約・パート)であるとのことだ。かつて安定収入の恩恵を受けてきた若者たちの間では、仕事を転々とする「フリーター」を選ぶ人々が増えている。
このような社会情勢により人々の生活も大きな変化を受けている。日本は、仕事帰りにのみに行きコミュニケーションを図ることで有名であったが、2007年の日経マーケティングジャーナルの調査結果によれば、調査対象の20代の34%が、アルコールをほとんどか、全く飲んだことがないと答えた。同調査ではさらに、「将来のために」貯金をしている20代が、2000年から2007年の間に倍に増えたことが明らかになった。
日本人の高級消費に対する態度はどうやら変化を見せているようだ。1980年から1990年始めのバブル経済に、多くの日本人がまわりにあわせて、ヨーロッパのブランド品を競って購入した。ある調査によれば、日本人の40%がルイヴィトンの製品を所有していると言われている。ルイヴィトンの親会社であるLVMHは、売上の10%を日本に依存している。
バブル経済の崩壊と、それに続く「失われた10年」の低迷から、日本人は何かを学び取った。「日本の顧客はスポンジのようだ」と、シャネルのサクライさんは私に言った。「私たちは全てを吸収し、疲れ切ってしまった。同じようなことは2度と繰り返さないでしょう。」今、日本で売れるものは本当に価値のあるもの。スイスのファッションディスカウント小売のH&Mが日本に初出店した際、5,000人もの人々が列をなした。
いま、「お金の問題じゃないわ。」とサクライさんは言う。「皆、自分の独自のスタイルを表現したいのよ。」
日本の若者たちは、というよりも若者はどこの国でも、自分の親と違ったスタイルを好む。広告会社幹部のコウサカさん(26)は、高級ブランドを買う余裕があるが、あえて買おうとはしない。アルマーニなどのブランドは「ひと昔前の金持ちのオシャレ」だと彼は鼻であしらった。
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