2009/05/30

不況時の市場調査の７つのステップ(2)

経験と判断力を重視する　CMOは、以前の不景気を乗り切ってきたマネージャーやりサーチャーの知識や直感を活用すべきである。　たとえば、価格設定において、彼らの考えを用いることで、製品のプロモーションにちょうど良い価格を設定することができる。　また、彼らの経験を用いれば、調査を代替することができる。　つまり、景気が悪いときに、わざわざスウェーデンとスカンジナビアの２箇所で同じリサーチをやるのではなく、スウェーデン１箇所で調査を実施して、そのデータを用いて、スカンジナビアの結果を予測するのである。

海外のチャンスをつかむ　ユニリーバのような大手多国籍企業では、調査費用を、西ヨーロッパから、アジア、ラテンアメリカなどの新興市場にシフトさせている。　先進経済に比べて、新興経済での調査費用は安く、その割に次々に新たな発見をできることが多い。　中国やインド、ブラジルなどの新興市場における、ブランドの趣向や消費水準は、先進経済よりも変わりやすい。　そのため、マーケティング担当が、新興経済において自社ブランドを定着させる中で、消費者調査を実施することは非常に重要である。

オンラインを鵜呑みにしない　オンライン調査は、早く、安く、将来性がある。　SurveyMonkeyのようなツールを用いれば、専門家でなくても、数分で自分好みの調査票を作ることができる。　また、いままでオフラインのフォーカスグループで実施していた製品アイデア調査や、広告テストも、オンライン消費者パネルを用いた定性調査でまかなうことができてしまう。　調査会社にアウトソースすることなく、自社で調査を実施するというアプローチは、費用削減が先行するこの時期には、確かに魅力的である。　しかし、そのアプローチは、同時に、支払っただけの対価が得られないというリスクを抱えることを忘れてはいけない。　オンラインで意図的に作られたコミュニティーから、手軽に得られるサンプルは、必ずしも、実際の消費者を代表するとは限らない。

全てを削らない　削ってはならないものを知ることは、削るべきものを知ることと同じくらいに重要である。　新たな広告や、新製品をほとんど市場に出すことができない中で、予備テストを事前に行い最適なマーケティングの方法を把握しておくことは、これまで以上に重要になってきている。　たとえば、消費者の価値判断基準が変化している商品エリアにおいて、比較的予算を使わずにコピーテストを事前に行うことで、効果のないメッセージに大枚をはたくのを防ぐことができる。　また、標準の追跡調査に数問の質問を加えることで、最もお金をかけずに、顧客の傾向や、購入行動の変化を明らかにすることができる。　主力製品においては、需要の価格弾力性と、価格属性のトレードオフの変動を調べるためのコンジョイント分析を実施しておくことで、現金がもっとも大事なこの時期に、収益性と価格に関する意思決定を改善させることができる。

新たな顧客に目を向け続ける　これまで完璧に将来を予測し続けてこれた人は誰もおらず、不景気により、消費者が自身のニーズを思い描いたり、明確に説明することが難しくなっている。　とはいえ、予算が限られている中で、賢いマーケティング担当者達は、調査の一部を、消費者同行の将来予測のために割いている。　自社ブランドの消費者は、景気が回復したときに、再びもとの消費パターンに戻るだろうか？　それとも、とりわけ不景気が長引いた場合、それに耐えるための新たなパターンを生み出すのであろうか？　消費者は、どんな新製品やサービスを喜んで受け入れるのだろうか？　また、消費意欲とブランドへの信頼がひどく傷ついた金融カテゴリーにおいて、それらを回復するためには、どのくらいの時間がかかって、どのような手続きを踏めばよいのだろうか？　不景気はいつか終わりを向かえるが、将来の成功は、そのときに適切な市場調査を行い、その結果良いポジションをできるかどうかにかかっているのである。

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