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2010/08/26


定性調査の活用方法(6)〜マーケティングプロセスにおける定性調査〜

これまでマーケティング・リサーチ、特に定性調査の特徴や手法を説明してきましたが、今回は企業の実際のマーケティング活動における定性調査の活用場面を説明します。

マーケティングリサーチは、企業のマーケティング活動の各プロセスの調査・分析を行っていくものですが、そのプロセスには1.市場機会の分析、2.ターゲット市場の調査と選定、3.マーケティング・ミックスの実践、4.マーケティング活動の監視と評価などが含まれます。

『1.市場機会の分析』では、対象としている市場全般の規模や動向、構造を分析し把握します。また市場を類似の購買行動・ニーズをもった集団(セグメント)に細分化をし、それぞれの概要を把握します。細分化の切り口には、年齢、性別、居住地域、年収、消費行動など様々なものがあります。

『2.ターゲット市場の調査と選定』では、1.で細分化した市場から、標的市場を定め、現状分析や今後の予測を行います。また、自社製品を差別化し市場で優位を築くために自社製品と他社製品の分析を進めます。

マーケティング・ミックスとは通常マーケティングの4Pである、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)のことを言います。『3.マーケティング・ミックスの実践』では、4Pの各要素がターゲット市場に適合しているかの分析を行います。新製品テストや需要予測、価格調査、最適流通経路、広告媒体・販促高価など、商品やサービスの開発から販売までの分析が含まれます。

『4.マーケティング活動の監視と評価』では、計画したマーケティング活動が目標通り行われたかをチェックします。顧客満足度の調査や、広告の効果測定などが含まれます。

下のチャートは、今まで説明をした企業のマーケティングプロセスに存在するさまざまなマーケティング課題において、具体的にどのようなマーケティング・リサーチが実施されるかの例をまとめたものです。

企業のマーケティング課題とマーケティング・リサーチとの 関わりの例
マーケティング課題(例)分析内容(例)マーケティング・リサーチのテーマ(例)
1. 市場機会の分析
@製品ライフサイクルの把握@需要予測、マーケットシェア分析@販売量、普及率などの資料 収集や予測
A商品・サービスの購入経路や満足・不満内容の把握Aイメージと購買行動の関連性A消費者 の購買・使用実態、ショッピング行動
B市場セグメンテーションB顧客のグルーピングと目標顧客の選定B顧客の購買行動・購買動 機、購入意図
C販売動向の把握Cマーケットシェア分析、地域別流通経路別販売予測C小売店など流通経路 別販売状況
Dマクロ環境の動向把握D国内および海外の政治、経済、社会、文化、技術、自然、ライフスタイルなど の傾向D政治、経済、社会、文化、技術、自然、ライフスタイルなどに関わる資料収集
2. ターゲット市場の調査と選定―エリア・マーケティング(商圏分析)
@商圏の購買力把握@商圏市場の予測@人口、世帯数、家計、小売業販売額などの資料収集
A競合分析・自社分析Aマーケットシェア分析A商圏内消費者の商品・サービス別購買行動
B顧客の来店・購買行動の把握B店舗イメージの分析B顧客のライフスタイル、来店行動、来 店理由
C販売動向の把握C販売予測C小売業販売額、売り場面積などの資料収集
3. マーケティング・ミックスの実践―資源の適正配置
@新製品計画 Product@新製品テスト、需要予測@ユーザ満足度(機能、デザイン、性能、価 格、サービスなど)、新製品と旧製品の売れ行き状況
A価格 PriceA価格の研究(競合製品の価格、販促費、価格と需要の関連など)A自社および 競合企業の経路別販売価格、価格と需要の関連性
B販売促進 PromotionB広告媒体・販促高価の分析B知名度、視聴率、閲読率や販促効果
C流通 PlaceC最適流通経路の分析C地域別、流通経路別販売状況
4. マーケティング活動の監視と評価
@販売動向の把握@マーケットシェア、地域別流通経路別分析@メーカー別経路別販売状況
A顧客満足の把握A目標顧客との整合性A顧客満足・不満の把握
B広告効果の把握B広告費と広告効果の分析B知名度、視聴率、閲読率や販促効果
出典: 『マーケティングリサーチハンドブック (日本能率協会マネジメントセンター) 』を参考に作成

各マーケティング課題は、実際にはさまざまな定性、及び、定量調査手法が用いられ検討されていくことになります。『定性調査の活用方法(1)』でも説明したように、定性調査は特に新しいアイデアのヒントを出すことに特徴があります。他の調査手法と併用されることもありますが、グループ・インタビューなどの定性調査手法がよく用いられるマーケティング課題としては次のようなものが挙げられます。

これに限らず定性調査手法はさまざまなマーケティング課題を解決するために利用されます。その場に応じて適切な調査手法を用いた調査設計を行っていくことがマーケティング課題を解決する上で非常に重要です。

<続く>


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