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2011/01/02


定性調査の活用方法(9)〜事例(エスノグラフィー調査):新商品導入の事前調査〜

新たなコンセプトを持った製品を開発する場合や既存製品の改善などを考える場合、消費者の視点から新たなニーズや製品の抱える問題点などを調べることは非常に重要です。エスノグラフィー調査はこのような、消費者の潜在的なニーズや課題を把握するのに最適な調査手法です。エスノグラフィー調査では、消費者が日常的に製品を利用している場所で、その利用の観察やインタビューを行います。インタビュールームで行う調査とは異なり、主に消費者の自宅などで行われるため、より深い消費者インサイトを把握することが可能です。

例として、新たなコンセプトの電動シェーバーを市場に導入するにあたっての、新製品の市場予測調査を考えます。

この調査をもとに新製品の導入の可否判断や、最終製品のアイデア、また、どの程度の市場が得られるかの予測を行います。調査方法としては、エスノグラフィー調査を用いて、日常的に電動シェーバーを利用している消費者が、日々どのように電動シェーバーを利用し、どのような課題や潜在的なニーズを抱えているかを明らかにします。さらにエスノグラフィー調査で得られた感想や改善アイデアなどをもとに、アンケート調査などの定量調査を行い、実際に市場に導入された場合にどの程度の市場規模が見込めるかを割り出します。最後に一連の調査結果をレポートにまとめ、最終的な商品の開発・導入判断をおこいないます。

【調査構成】

@エスノグラフィー調査(定性調査)

Aアンケート調査(定量調査)

B調査のまとめ

エスノグラフィー調査は調査対象者の自宅で行い、日ごろの電動シェーバー利用についての30分の事前インタビューに加え、実際の利用シーンの観察をする調査構成とします。事前のインタビューは、効果的に利用シーンの観察をすることを目的としています。事前課題として、対象者に一定期間の電動シェーバーの利用記録を日記に書いてもらうことでさらに深い利用シーンを把握することも可能です。対象者の利用シーンを観察する際は、後から分析ができるように対象者に許可を取った上で録画・録音をすることがお勧めです。新製品の試作品などがある場合は、実際に利用してもらいその感想を聞くことで、製品の可能性を把握したり、改善点のアイデアを得ることも可能です。

【エスノグラフィーの構成(例)】

1.事前インタビュー(30分)

2.利用シーンの観察(15分)

3.試作品の試用(15分)

【対象者条件(例)】

・20歳〜50歳の男性

・電動シェーバーを週に4〜5回利用している

・新製品や新しいコンセプトの製品に興味がある

エスノグラフィー調査では消費者の深いインサイトを探るために、実際の行動をただ観察するだけでなく、なぜそのそれぞれの行動を行っているか理由を明らかにすることが重要です。そこに消費者の抱える潜在的なニーズや課題があるかもしれません。エスノグラフィー調査は対象者宅で行うことが度々ですが、注意点は大勢でおしかけず、観察や録画・録音などはすべて対象者の許可を取ったうえで行うことです。また長時間の調査が難しいため、インタビューの内容など事前に十分な準備を行った上で調査に臨むことが必要です。

今回の例では調査対象が日々の利用シーンであったために対象者宅での調査となりましたが、購入行動を対象に調査を行う場合は対象者のショッピングに同行して商品選びの観察をしたりインタビューを行う形式のエスノグラフィー調査を行うことも可能です。

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