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2010/11/07
コミュニケーション戦略や広告の事前評価(広告テスト)に対しても定性調査は大いに役立ちます。通常広告などを利用した消費者コミュニケーションには大きな金額がかかるため、事前評価を行い効果的なコミュニケーション方法や広告を作り上げることで大きな費用対効果を得ることができます。
例えば新たなスキンケア製品の発売にあたってのコミュニケーション戦略の立案を考えます。コミュニケーション戦略では、コミュニケーションの対象となるターゲット(誰に?)、メッセージ(何を?)、コミュニケーション方法・媒体(どのように?)を決定する必要があります。従って進め方の例としては次のようなものが考えられます。
プロセス例
@ コミュニケーションターゲットの選定 (顧客データ分析)
A コミュニケーションメッセージ/広告アイデアのまとめ (グループインタビュー)
B メッセージ/広告表現の決定 (会場調査)
C メディアの決定 (メディア分析)
大まかな流れとしては、@で選定したターゲットに対して、Aのグループインタビューにおいて消費者に複数のメッセージ・広告コンセプトを定性的に評価してもらい、最終的なメッセージや広告に近づけます。Bでは多数の消費者を会場に集め、複数あるメッセージ・広告の代替案を評価してもらい、定量的にどの代替案がもっとも効果的であるかを決定します。調査の対象者に代替案1つだけを評価してもらうモナディック法(各対象者が1つの代替案のみを評価する方法)を用いることで、単にどの代替案がもっとも良いかだけではなく、選ばれた代替案が絶対的にどの程度効果的かを把握することが可能です。最後のCにおいて、ターゲットにアピールするためにどのメディアがもっとも効果的であるかを検討し決定します。この検討には調査会社が提供・販売している消費者のプロフィールや購買状況、メディア接触に関するデータが有用です。
定性調査としてはAのグループインタビューが対象となりますが、ここではグループインタビューの参加者に事前に準備をしたメッセージ/広告のコンセプトを見てどんな印象を受けるかを評価してもらいます。コンセプトとしては、広告に用いるビジュアルやメッセージとなる文章、テレビCMの場合には絵コンテなどを見てもらいます。いくつかの代替案が用意されることも多々ありますが、このグループインタビューの目的は、コンセプトの良し悪しを確認したり、最適な代替案を導き出すことだけではありません。コンセプトが消費者にどんな印象を与え、どんな気持ちにさせるのか、また、どんな良い点があり、どんな改善点があるのかなどを把握することもここでは重要です。
今回の新製品は、新たな機能を加えた新製品を従来製品の買い替えとして自社製品ユーザに利用してもらうことに加え、競合他社製品ユーザに対しても新機能をアピールし自社ブランド乗り換えをしてもらうことを目的としています。そのためグループインタビューの対象者は『既存ユーザ』である自社スキンケア製品ユーザと、『新規ユーザ』となる競合他社スキンケア製品とします。
□ 調査手法: グループインタビュー
□ グループ構成: 2グループ(既存+新規ユーザ)/ 各8名 / 各2時間
□ 対象者条件:
【既存ユーザ(例)】
【新規ユーザ(例)】
このグループインタビューを通して、メッセージ/広告コンセプトが伝えたいことを十分に伝えることができているか、どのように伝えることができているか、どのような改善が考えられるかなどのアイデアをまとめ、最終的な広告やメッセージにつなげます。一般的にBの会場調査には大きな費用がかかるため、ここで悪い結果を受けて大きな出直しをするよりも、一度グループインタビューを通して消費者の視点から広告を評価しておくことは最終的に大きな費用削減にもつながります。
<続く>
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